(株)NTTデータ(本社:東京都江東区、代表取締役社長:浜口 友一、以下NTTデータ) とVA Linux Systems Japan(株)(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:上田 哲也、以下 VAリナックス) は、本年5月にLinux故障解析ツールの共同開発プロジェクトを開始し、Linuxカーネルのクラッシュダンプ機能を実現する「ミニカーネルダンプ」(Mini Kernel Dump) 機能と、それで得られた障害情報の解析を行う故障解析ツールを開発してきましたが、その成果の一貫として本日「ミニカーネルダンプ」機能をオープンソースで公開しました。

 

【ミニカーネルダンプについて】

今回、オープンソースとして公開したミニカーネルダンプは、Linuxシステムの障害発生時に自動的に内部情報の全記録を外部の記録装置に行うためのクラッシュダンプ機能であり、既存のUNIXをベースとしたエンタープライズ級のシステムに比べて弱いとされてきたLinuxシステムの障害原因の追及といった問題に対して、本質的な解を提供するものです。

既にLinuxシステムでは、LKCD、diskdump といったクラッシュダンプ機能が存在しますが、これらはダンプの出力をそのLinuxシステムで使用されている既存のデバイスドライバを使用するなど、 Linux カーネルがもはや信用できないという障害発生時においてLinuxカーネルが正常に動いていることを前提として設計されているという大きな矛盾を抱えています。ミニカーネルダンプでは、これらの問題を解決するために、システム障害時に障害が起きているLinuxカーネルとは別の小さなダンプ取得専用のLinuxカーネルを起動してダンプを行うという、既存のLinuxカーネルにまったく依存せずダンプを採取する手法を用いています。

また、ミニカーネルダンプでは、既存のLinuxカーネルに対する修正が非常に少ないため、ダンプ機能の組み込みのためのハードルは低く、またデバイスドライバの修正が必要ないためどのようなハードウエア構成のシステムでも動作するという特徴を持ちます。

ミニカーネルダンプは現在IA-32サーバ上で動作しますが、x86-64サーバ、IA-64サーバについても今後対応していく予定です。

 

【公開方法】

ミニカーネルダンプのソースコードは、全てオープンソースのライセンスであるGNU General Public License (GPL) で公開されます。また、ミニカーネルダンプのプロジェクトは世界最大のオープンソース・ソフトウェアの開発サイトである「SourceForge.net」にてホスティングされています。

 ミニカーネルダンプのプロジェクトのURL:
http://sourceforge.net/projects/mkdump/

 プロジェクト・ホームページのURL:
http://mkdump.sourceforge.net/

 

【今後の展望】

今回のミニカーネルダンプの提供により、システム開発者はLinuxシステムにおける障害発生時において、これまでより確実に原因を突き止め、再発の防止につなげることが可能となります。これにより、Linuxシステムの信頼性が強化され、エンタープライズ市場におけるLinuxとオープンソースを活用したシステムの地位がより一層向上することになります。

また、NTTデータとVAリナックスは、ミニカーネルダンプを含めたLinux故障解析ツールの共同開発プロジェクトをさらに推進し、来年度から本格的にLinuxの障害解析ソリューションを展開していきます。

 

【公開について】

このリリースに対し、VAリナックス 代表取締役社長 上田哲也は次のように述べています。「ミニカーネルダンプの公開によって、Linuxシステムの信頼性をより引き上げる道が拓けたことは、エンタープライズ市場においてLinuxがますます浸透することにつながるでしょう。今後もNTTデータが有する大規模エンタープライズシステムのノウハウと VAリナックスのLinuxカーネルを中核とする国内における圧倒的な技術力を組み合わせ、国内におけるエンタープライズLinux推進の牽引車として邁進する決意です。」

 

【NTTデータのオープンソースへの取り組み】

NTTデータでは、オープンソース・ソフトウェア(以下OSS)を用いたシステムの開発から保守サポートまで責任をもって提供する、ミドルウエアを含めたフルオープンソースソリューション『Prossione(プロッシオーネ) (仮称)?の開発を進めています。VAリナックスとの共同開発による成果は、Linux故障解析ツール『リナックシデント(仮称)?として展開し、障害対応を適切に行う仕組みを実現するものになります。NTTデータでは、今後もProssioneの開発を進め、お客様にOSSを安心して利用していただけるようにします。

■ 登録商標および商標について
Linuxは Linus Torvalds氏の登録商標です。その他の商ち標については商標の所有者に所有権が属しています。
■ ヴィーエー・リナックス・システムズ・ジャパン株式会社について
ヴィーエー・リナックス・システムズ・ジャパン株式会社 (以下、VA Linux) は、各種 OS や仮想化技術、クラウド基盤構築に関連する OSS をはじめとした多岐にわたる事業分野で利用されている OSS について、高度な技術と経験を基盤に、技術コンサルティング、開発支援、障害解析サポートを提供する企業です。
VA Linux は、2000年9月に設立され、Linuxカーネルや仮想化に関するグローバルレベルの技術力をベースに Linux およびオープンソース業界を牽引する中核企業として成長を続けており、SCSK グループ企業としてオープンソース・ソリューション推進の先導役となっています。
詳しい情報は、https://www.valinux.co.jp/